相続遺言判決実例集…(長崎家諌早出審・昭和62年8月31日家月40巻5号161頁)


  • (長崎家諌早出審・昭和62年8月31日家月40巻5号161頁)
 

(長崎家諌早出審・昭和62年8月31日家月40巻5号161頁)


 (長崎家諌早出審・昭和62年8月31日家月40巻5号161頁)

「祭祀財産の承継者を決定するに当っては,被相続人との生活関係、被相続人の意思,承継者の祭祀承継の意思,能力,生活状況等一切の事情を圏酌すべきである。これを本件についてみるに,調査の結果によれば次の事実が認められる。(1)相続人中,祭祀承継の意思を有している者は,申立人及び相手方Yのみで,他の相続人はこれを希望していない。(2)申立人は被相続人の実姉Aの養子となり,相手方YはAと婚姻して,いずれも被相続人とは氏を異にしている。(3)申立人は,熊本県八代市に相手方Yは神奈川県茅ヶ崎に居住し,いずれも本件の主たる祭祀財産である墳墓の所在地からは離れて生活しており,墓地の清掃等現実の管理は主として相手方Bが行っている。(4)申立人は会社役員,相手方Yは保育園調理師をしており共に祭祀能力に欠けるところはない。(5)申立人も相手方Yも各自で被相続人の法事等の供養をとり行っている。(6)相手方Yは本件祭祀財産である佛壇及び位牌を保管している。(7)被相続人は3基の墓碑を所有しており,この建立資金を相手方Yは負担していないにもかかわらず,このうち2基について建立者施主としてC(相手方Yの婚姻前の氏名)と刻印させている。この点についてこれ迄関係者から異議を唱えられたことはない。(8)申立人も相手方もいずれも被相続人と生活を共にし世話をしたことがあるが、被相続人は末子である相手方Yに股も親愛の情を有し,自ら希望して最後の約1年間を相手方Yの許で生活している。以上認定の事実によれば,被相続人は,遺言等明確な形で祭祀承継者の指定はしていないけれども,墓碑に建立者として氏名を刻印させるという形で,生活関係の最も密接であった相手方Yに祭祀を承継させるという意思を明らかにしていたものと認められる。また,他の相続人も被相続人の生前は,このことを肯認していたものと認められる。そうすると,申立人と相手方Yとは他の条件においては同等と認められるから,被相続人の意思の推認されるところで,これを決するのが相当と解される。従って,被相続人の祭祀財産の承継者を相手方Yと定めることが相当である。」

 


 

 


 

 
相続遺言判決実例集