相続遺言判決実例集…(最判・昭和63年5月20日家月40巻9号57頁)


  • (最判・昭和63年5月20日家月40巻9号57頁)
 

(最判・昭和63年5月20日家月40巻9号57頁)


 (最判・昭和63年5月20日家月40巻9号57頁)

「共同相続に基づく共有者は,他の共有者との協議を経ないで当然に共有物を単独で占有する権原を有するものではないが,自己の持分に基づいて共有物を占有する権原を有するので,他のすべての共有者らは,右の自己の持分に基づいて現に共有物を占有する共有者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないところ(最高裁昭和38年(オ)第1021号同41年5月19日第一小法廷判決・民集20巻5号947頁参照),この理は,共有者の一部の者から共有物を占有使用することを承認された第三者とその余の共有者との関係にも妥当し,共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は,その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが,現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので,第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。なお,このことは,第三者の占有使用を承認した原因が共有物の管理又は処分のいずれに属する事項であるかによって結論を異にするものではない。これを本件についてみるに,原審の適法に確定したところによれば,上告人は訴外Aの相続人として本件建物を持分4分の1の割合で共有し,被上告人は本件建物の共有者たるその余の相続人との間で本件建物の使用貸借契約を締結し,本件建物を使用するものであるというのであり,右事実のみをもってしては上告人が被上告人に対して本件建物の明渡しを請求することができないことは前記説示のとおりである。そうすると,これと結論において同旨の原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。」

 


 

 


 

 
相続遺言判決実例集